トート
ふだん「大量JALマイルの貯め方」をお伝えしていますが、今回はソウル発海外発券で、ソウル-東京間をビジネスクラス、そして東京-NY間をファーストクラスで往復するという、変則的なフライトでした。合計で27時間、「天空の高級ホテル」と称されるファーストクラスを堪能してきました。
東京-ニューヨーク間の旅程は次の通りです。
- 往路 JL004 18:15 成田発→同日18:20 JFK着 飛行時間13時間5分
- 復路 JL005 13:25 JFK発→翌日16:25羽田着 飛行時間14時間
どちらも12時間を超えるフライトでした。10時間を超えると、エコノミークラスではかなりしんどいですよね。でもさすがファーストクラス。今回は、快適な空の旅を楽しむことができ、あっという間でした。
目次
- ファーストクラス機材はボーイング777-300ER(773)
- チェックイン・カウンター
- 成田空港JALファーストクラスラウンジ
- ファーストクラス・シート JAL SUITE
- ファーストクラスの機内食・ドリンク編
- 機内食は和食にすべきか洋食にすべきか問題
- アメニティグッズとパジャマにお着替え
- フルフラット・ベッド JAL SUITE
- 朝食は好きなときに
- ファーストクラスを利用する客層とは?
- JFK空港→羽田へ JFKエールフランス・ラウンジはいまいち
- ファーストクラス機内食・和食編
- ファーストクラス機内食:朝食編
- ファーストクラスに搭乗しての感想 200万円の価値はある?
- マイルを利用して特典航空券でファーストクラスに乗る
- おすすめ記事
ファーストクラス機材はボーイング777-300ER(773)
機材は行きも帰りもボーイング777-300ER(773)です。ANAと同様ですね。世界の主要都市を結ぶ巡航距離をもつベストセラー機材のひとつです。座席表を見てみます。
全244座席のうち、わずか8席しか用意されていないファーストクラス。スペースから言えば、エコノミー9席分の広さをひとりで使う贅沢な配置となっています。2Gの緑の印は乳幼児用寝台です。
チェックイン・カウンター
▲こちらはJFK空港でのチェックイン・カウンター
▲同じくJFKの優先保安検査レーン
本来であれば、成田なり羽田なりのファーストクラス・チェックインカウンターを使うのですが、今回はソウルでチェックインしたため、日本では乗り換えのみでした。成田の場合は、ターミナル中央部の専用エリアで、専任スタッフによるチェックイン受付ののち、ファストセキュリティレーンで保安検査を抜けることが可能です。
成田空港JALファーストクラスラウンジ
JALのラウンジはさくらラウンジと、ファーストクラスラウンジのふたつがあります。さくらラウンジは主にビジネスクラスやJGC所有者の方が利用しています。その上をいくファーストクラウンジはどんなものでしょうか?
ファーストクラスラウンジならではのサービスとして、特筆すべきなのは次の3点だと思います。
- マッサージ
- 握り寿司
- シューポリッシュ(靴磨き)
マッサージ
ソウル発のビジネスクラスを降り、成田のファーストクラウンジに入ったのは14時過ぎのことでした。その場で、すぐにマッサージの予約を入れました。リラクゼーション・サービスと位置づけられているマッサージですが、スカルプ(頭皮)・ボディ(上半身)・足つぼの3つから選ぶことでがきます。
予約を入れると、このようなパスを渡されます。かなりの人気なので順番待ちなのですね。飛行機のボーディングパス並の大きさで、「もう少し小さくてもよくない?」と思いましたが、たぶん紛失や置忘れを防ぐためなのだろうと思います。
わたしが選択したのはボディ・マッサージ。マッサージ師は女性の方でしたが、かなりの力でグイグイと押し込んでくれました。ソウルからはビジネスクラスだったのでとくに疲れてはいなかったのですが、それでもやはり気持ちがいいですし、リフレッシュできますね。
ひとつ注意があるとすれば、ボディを選ぶと、背中から腰のあたりも入念にマッサージを受けるので、お腹がいっぱいだとかなり苦しい!です(笑)。ラウンジその他でご飯を食べたばかりの場合は、スカルプか足つぼの方をおすすめします。
握り寿司
ご飯といえば、握り寿司はJALファーストクラスラウンジならではのサービスといえるでしょう。こちらの提供時間は07:30~12:30、15:00~20:00となっています。目の前で寿司職人が実際に握ってくれるという趣向。15時のサービス開始前には小さな行列ができていました。
こちらはマグロ・ヤリイカ・赤海老・北海蛸・玉子などから、一週ごとに異なる三貫セットが提供されます。わたしは海老が好きなのですが、残念ながらこのときはヤリイカでした(笑)。お寿司の味としてはまぁ特筆すべきほどのものではないのですが、とくに外国の方からすれば、エンターテインメント性もあって面白い趣向かと思います。
羽田ファーストクラスラウンジ 鉄板ダイニング
なお羽田の場合は、鉄板ダイニング・エリアがあり、朝の時間帯はライ麦ガレット、夜は上ミスジステーキが提供されています。
ジョン・ロブによるシューポリッシュ
個人的にファーストクラスラウンジのサービスのなかで一番おもしろいなと感じたのはこの靴磨きでした。イギリスの高級靴メーカー、John Lobb(ジョン・ロブ)が提供するこのサービス。わたしは革靴ではなかったのですが、お願いしたところ快く引き受けてもらいました。
ポリッシュを受けながら職人の方とお話したのですが、平均すると「一日に五十足程度磨いている」とのこと。革靴の方は案外少ないのだそうです。とくに長距離路線だと、スーツに革靴で旅するのはしんどいですからね。ただ「三、四足、革靴を持ち込まれる方もいらしゃいます」とおっしゃっていました。とくに制限はないようですね。
「旅行に出かける前に少しでも気分がよくなれば」という考えで続けてらっしゃるそうです。埃や汚れをはらってもらうだけでも、たしかに嬉しいものですからね。わたしはカンペールを履いていたのですが、汚れを落とし、無色のクリームを塗ってもらいました。不思議とこれだけで「旅行にいくぞ!」とわずかながら気分が高揚します。とてもよいサービスだと思いました。
▲磨き上がり! ピカピカ
ファーストラウンジその他のサービスは、シャワーや食べ物・アルコールなど、当然ひととおりのものはそろっています。ただ、これからファーストクラスに乗ることを考えると、「ここで食べてはもったいない」というわけで軽くつまむ程度にしておきました。
そんなこんなで、いよいよボーディング・ゲートへ向かいます。
ファーストクラス・シート JAL SUITE
タイ航空など一部のキャリアでは、ゲートまで専任のスタッフが帯同するようなこともありますが、日系ではそこまでのサービスはありません。優先搭乗は子供連れ・手助けの必要な乗客からはじまり、ファーストクラスはその次となります。ただビジネスクラスやJGC会員と同じ列なので、ファーストに関しては別の導線を確保してもいいのではないかと感じました。
いよいよ機内へ。今回は最前列窓際の1Aを確保しました。コートやジャケットは、すぐにその場で預かってもらえます。
シートは「JAL SUITE」。これは帰国便で撮ってもらった一枚で、2Aになります。興奮で目がぎらついています。スペースに余裕があるなどというレベルではありません。木目調のインテリア越しに3つの窓が並んでいます。座席は革張りで余裕のある造り。手元のボタンでさまざまなポジションにコントロール可能です。シート自体が前後にもグイーンと動きます。食事のときなど便利です。
▲わたしの短い足では持て余してしまうほどの広さ
もはやレッグスペースがどうとかいう次元ではありませんね。各種電源やコントローラーなど、最初はどこにあるのか検討がつかずキョロキョロしてしまったのですが、木目調の部分が開く仕様になっていました。さらに、ちょっとしたアタッシェケースなら入れられます。
▲オットマンの下に荷物を入れるのもあり
▲コントローラー。スマホみたいですね。タッチパネル仕様です。
▲モニタは23インチ。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』見返してました
おもしろいのがモニタの前にあるテーブルで、これは前後に動かすことができます。食事のときはすぐ手前までスライドさせればいただきやすいです。また、モニタの下にあるオットマンも、人が腰掛けるのに十分な幅を持っています。テーブルを間に挟んで、向き合って座れるんですね。二人で旅行しているときにはよさそうです。いかにひとつひとつのブースが大きいか、おわかりいただけるかと思います。
さらに、窓際でなく中央の列に席を取れば、パーティションをおろすことで会話することも可能です。
ウェルカム・ドリンク
席に着くと、チーフパーサーはじめ3、4人のクルーが挨拶に来てくれます。フライトを通して、折に触れてニューヨーク滞在の話などをしたのですが、これは良し悪しだなぁとも思いました。プライベート空間を求めてファーストを利用している乗客もいるでしょうから。
ウェルカム・ドリンクはシャンパンかジュースを選択できます。最近はANAのビジネスクラス利用が多く、その残念なプラスチック・カップに慣れているので、グラスというだけで嬉しいものがあります。なお手前に写っているのは機内Wi-fiのコードです。24時間、無料で利用できます。
ファーストクラスの機内食・ドリンク編
離陸してしばらく経つと、いよいよ機内食の時間となります!
BEDD
メニューにあるBEDDとは、JALがファーストクラス/ビジネスクラスで提供する機内食サービスです。JAL公式HPによれば、
スターシェフと料理プロデューサーで結成するドリームチームが、最高の食材と自由な発想で夢のスペシャリテをお届けする、空の上のレストラン「スカイオーベルジュ BEDD(ベッド)」
とのこと。フルフラットのBEDに、最後のDはDine(お食事をする)”、“Delicious(おいしい)”、“Dream(夢見ごこち)”の意味が込められているそうです。どことなくマンション・ポエムな印象を受けるのはわたしだけでしょうか……「ソラに住むという生き方」的な。「ソラ」をカタカナにしたのがポイントです。
SALON
まずはドリンクから。JALのファーストクラスといえば、世界のエアラインで唯一、超高級シャンパンの代名詞「SALON サロン」を提供していることで有名です。希少なシャンパンとして知られるサロンの生産量は、同じく生産数の少ない「KRUG クリュッグ」の15%程度とされています。わたしの場合、とくに機上ではほとんどお酒は飲まないので少しだけいただきました。
一緒に、アミューズのさらにアミューズ?的な一皿が出てきます。こちらはメニューにも記載されていませんでした。金箔の乗ったテリーヌとキッシュと……なんだったかな?
森伊蔵
サロンと同じくJALならではのお酒として名を馳せているのが焼酎「長期洞窟熟成酒極上 森伊蔵」です。「魔王」、そしてANAで提供されている「村尾」とともに「3M」の一角をなす森伊蔵。鹿児島県産の芋焼酎で、「幻の焼酎」とも呼ばれ、なかなか市場に出回ることはありません。正規ルートで購入するには電話抽選しかなく、その当選確率は0.2%なのだとか。定価の7〜8倍近い値がつくことも珍しくありません。
中距離以上のファーストクラス・ビジネスクラス搭乗時に限り、「森伊蔵」を機内販売で購入することが可能です。わたしもCAさんに「一本お取りしてありますよ!」とプッシュされて、帰国時になんとなく買ってしまいました(笑)。3,200円のものが、たいてい2万円前後で出回っています。
ロイヤルブルーティー「Queen of Blue クイーン・オブ・ブルー」
お酒を飲まない方にはこちらはどうでしょう? ロイヤルブルーティーの最高傑作で「お茶の貴婦人」と呼ばれる一品です。ワインのようなボトルから注がれます。台湾産の高級青茶「オリエンタル・ビューティー 東方美人」の手摘み茶葉だけを使っており、「お酒をたしなまない人を尊重して」作られたお茶なのです。
何杯かいただきましたが、紅茶のようでもあり中国茶のようでもあり、どんな料理にもマッチする深い味わいでした。
機内食は和食にすべきか洋食にすべきか問題
これは国論を二分する、永遠のテーマだと言えるでしょう。一般には日本発の便なら和食にしたほうがよいですかね。まぁそのときの献立次第で選べばよいのですが、このフライトではメインのオマール海老にひかれて、洋食を選択しました。東京神谷町 “SUGALABO” 須賀洋介シェフ監修によるメニューとなります。
アミューズ・ブーシュ サーモンのグラブラックス
- スコットランド産スモークサーモンのグラブラックス
グラブラックスというのはスカンジナビア料理で、ディルや香辛料のなかにサーモンをつけてマリネさせたものです。こういう一品、好きです。スモークサーモンの下にはスライスされた帆立が並んでいました。
アペタイザー キャビア最中
- キャビア卵黄のクリームをあしらいサクサクの最中で
アペタイザーは選択式なのですが、せっかくなので、ここはやはりキャビアを。最中にクリームを塗ってキャビアといただくという趣向なのですが、正直、ちょっと食べにくかったです(笑)。
なお、アペタイザーはキャビア以外に、次の二種類からも選ぶことができました。
- フランス産仔牛フィレ肉を使ったヴィテロトナート
- 春野菜イベリコ豚のチョリソーと温製サラダに
三つの選択肢の中から、牛フィレはともかく、チョリソーを選ぶ方はいるのでしょうか……。
メインディッシュ オマールブルー
メインも選択性で、次の三つが用意されていました。
- 牛フィレ肉 岡本農園のグリーンアスパラガスとともに 黄身醤油で
- 比内地鶏 温かいポトフ仕立て きりたんぽ風
- オマールブルー 蕪と根セロリとともにアメリケーヌソースで
お肉を選ぶ方が多いようですが、わたしはどちらかといえばシーフードが好き、なかでも海老は大好物!なので、迷わずオマールブルーを選択しました。
う、美味い……ニマニマと食べていると「オマール海老のなかでも最高品質のものを使っているんですよ」とCAさんが教えてくれました。ブルターニュ地方沿岸でとれるブルーオマールロブスターは、フランス国内でも三ツ星レストランでしか食べることができない地元でも有数の高級食材なんだそうです。この一皿はおかわりしたいくらいの味でした。
パンとボルディエのバター
パンも美味しかったですが、それ以上にボルディエのバターが美味でした。他に塩とオリーブオイルを付けるいただき方も。
デザート イチゴのルバーブ
- 奈良県産イチゴ「古都華」 ルバーブと春らしいヴァシュランに仕立てて
「は、花びらが舞っている…! 食べていいの?」と思いました。もちろん食べられました。ヴァニラアイスはカッチンコッチンに冷えていたので、しばらく待ってからいただきました。古都苺は奈良で生産されており、わずか数名の方々だけが栽培しているのだとか。
ア・ラ・カルト
同じスイーツとしては、好きなときに注文できる大納言フィナンシェ“S”がありました。しかし通常のメニューだけでかなりお腹がふくれたので、結局頼むことはありませんでした。
また、随時注文できるア・ラ・カルトのメニューがあります。焼き串三種盛りやラーメン、カレーなどなど。個人的には、高級シャンパーニュもいいけど、高級フルーツとかそろえてほしいですね。全航空キャリアにお願いしたいところです!
アメニティグッズとパジャマにお着替え
食事を終えて化粧室へ向かおうとすると、「お着替えなさいますか?」と声をかけられました。何に着替えるかというと、機内用の服、リラクシングウェアという名前ですが、要はパジャマというかスウェットみたいなものですね。ポルシェ・デザインの品です。
ではお願いしますということで、化粧室で着替えます。この台を倒して、上に乗って着替える形です。さすがにちょっと狭いですが、機内のことですから仕方がありません。
着替えてドアを開けると、CAさんが待っており、脱いだばかりの服を預かってくれます。生暖かい服をたたんで頂くのはどうも申し訳ない気分になってしまいますね……。
中身はこんな感じ。まぁ、スウェットですね。もちろん持って帰ることができます。それ以外に提供されるものとしては、同じくポルシェ・デザインのポーチに入ったアメニティ・キットと、資生堂の男性用化粧品のセットがあります。
アメニティ・キット ポルシェ・デザイン
ポルシェ・デザインのものは期間限定で、その前はロエベだったようです。女性はロエベのほうが嬉しいかもしれませんね。中身はアイマスク、コーム、リップクリーム、歯ブラシ、化粧水、イヤープラグなどなど、まぁ機内アメニティとしてはオーソドックなものです。
SHISEIDO MEN
機内では使わず、自宅に帰ってから開封しました。男性化粧品のセットです。「クレンジングフォーム(洗顔フォーム)」「ハイドレーティングローション(顔用化粧水)」「トータルリバイタライザー(顔用クリーム)」と説明書が入っていました。女性は何がもらえるのでしょうね?
おまけ:ジャン・ポール・エヴァンのチョコ
こんなものまでもらえました。チョコは4センチ四方といったところでしょうか。
フルフラット・ベッド JAL SUITE
着替えている間に、シートの方もベッドメイキングをしていただきました。マットレスはエアウィーヴ。固めか柔らかめのマットを選択できます。固めをお願いしました。
当然ですが、フルフラットです。寝返りも打てなくはないですが、実際はシートベルトをつけて寝るので、半身になる程度かなと思います。とはいえビジネスクラスとくらべてもずっと余裕のある幅であることは言うまでもありません。
それから、映画を2本ほど観て眠りにつきました。
朝食は好きなときに
時間帯としては朝食と呼ぶべきなのか微妙なのですが、好きなときに注文可能なセットがあり、ほぼ必然的に起きぬけに食べることとなります。さきほど洋食を頼んだので、今度は和食をお願いしました。
パリを拠点に活躍する料理プロデューサー、狐野扶実子さん監修による献立「フミコの和食」です。
- 和牛のフィレ肉とよもぎ麩
- 柑橘のごまだれ
- 燻製豆腐
- 桜のお吸い物
- ご飯
- 香の物
これはどれも美味しかったです! 和牛はリクエストが非常に多いため調達量も多く、「JALが世界で一番和牛を買っているんじゃないか」と言われたこともあるそうです。JALではご飯を機内で炊いていることもけっこう有名ですよね。新潟県南魚沼産コシヒカリを使い、火気は厳禁なので、電子レンジ用炊飯器で炊いているようですよ。
ゆったりと楽しんでいる間に北米大陸にさしかかり、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港到着が見えてきました。また化粧室で着替えを済ませて、降機の準備をすすめます。名残惜しいですが、復路でまた体験できると思えば、旅行の終わりにまたひとつ楽しみが待っているとも言えます。
ニューヨークではミュージカル三昧に乗馬に美術館にクルーズにプチオフ会にと盛りだくさんでこれもまた楽しかったのですが、それはまたいずれ別記事で。
▼追記)ニューヨーク観光について書きました
▼ひときわ高いNYのホテル代を削減した話はこちら
ファーストクラスを利用する客層とは?
復路のJFK→羽田便の前に、ファーストクラスの利用客について思ったことなど。JALでもANAでも、ニューヨークへのファーストクラス往復チケットは通常、割引販売は存在せず、約200万円もの価格となります。まさに目玉が飛び出るような価格ですが、実際に搭乗するのはどのような人たちなのでしょうか?
今回のニューヨーク行きでは、往復ともに全席満席でした。ゴールデンウィークだったこともあるかと思いますが、これだけの需要があるのだなと感心してしまいました。とくに印象に残っているのは、帰国便のJFK→羽田便で、おそらくは日本でもっとも有名な映画監督が搭乗されていたことです。
その方の嗜好としてはファーストクラスを嫌いそうな気もするのですが、やはりプライバシーを重視する意味では、乗客がわずか8名に限定され、各シートの独立性がきわめて高いファーストクラスが適当なんだろうと思いました。ビジネスクラスだと数十席ありますし、化粧室を使う際など、どうしても人目を引いてしまうでしょうから。
ファーストクラス乗客の服装について
まぁ、当たり前ですがみなさんスマートな格好をされています。とはいえ所詮は交通手段にすぎませんから、そこまで肩肘を張る必要もないかと思います。TPOとは言いますが、オリエント・エクスプレスやベルモンドのダイニングのようにドレスアップする場でもありません。こうしたサービスを受ける方であれば、おのずからふさわしいファッションは分かるかと思います。スマートカジュアルといったところでしょうか。
いったん飛行機に乗ってしまえば、早々に先述したリラクシングウェアという名のだぶだぶパジャマに着替えてしまいますしね!
では、ここからは復路のレポートです。
JFK空港→羽田へ JFKエールフランス・ラウンジはいまいち
往路は成田利用でしたが、復路は羽田行きとなります。JALがJFKでのラウンジ運営から撤退してしまったので、同じターミナルのAir Franceのラウンジを使いました。うーん、しかしこちらは食事、設備ともにどうということのないクオリティでしたね。ファーストクラス乗客向けのラウンジとは言えません。ちょっと残念でした。
さて機内へ。最初に挨拶してくれたCAさんにセントラルパークで馬に乗った話をしたら、その他のクルー全員に伝わっていてちょっと恥ずかしかったです。乗客とのコミュニケーションをずいぶんと重視している印象を受けました。
シートやサービスは往路とまったく同じなので、復路のお料理をご紹介します。一週間ぶりの日本食を、ということで和食を頼んでみました。
ファーストクラス機内食・和食編
小皿 五彩
- フォアグラとほうれん草のゼリー寄せ
- 厚焼き玉子キャビアのせ
- 一寸豆の翡翠寄せ
- 海老ハンバーグ和風サラダ敷
- 鯛小袖寿司
まずは5つの小鉢からスタート! またまたキャビアです。それよりも個人的にはフォアグラが好きなので嬉しかったです。右のグラスに入っているのはロイヤル・ブルーですね。
お 椀
- 貝柱真丈のお椀
繊細なお味。こういうものを空の上で再現するのは難しいでしょうね。
向付
- 引き湯葉 蒸し雲丹のせ
- マグロの焼霜造り 醤油ヌーベを添えて
マグロの方がメインですが、湯葉と雲丹が大好きなので喜んでいただきました。
預け鉢
- スモークサーモンと帆立のポン酢ジュレ
機内食ってヌーベやジュレを使った料理がわりと多い気がします。
台の物
- 和風ビーフステーキ
メインはまたまた和牛ビーフステーキ! こちらは冷製でもないのに少々冷めていたのがちょっと残念でした。帰国便はOJTのCAさんが料理を担当していたと降機時に挨拶を受けました。まぁ、そのせいだったのかは不明ですし、機内で熱を使うのは難しいのでしょうね。お肉自体はよいものでした。ご飯は白米か筍ご飯か選べます。香の物も、好きな奈良漬があって美味しかったです。それにしても、お肉の上のタマネギをのけてから写真を撮るべきでした!
甘味
- 黒胡麻プリン
ぱっと見では分かりにくいですが、横から見るとなるほど黒胡麻でした。お上品な味でした。
ファーストクラス機内食:朝食編
さらにここから朝食編! ここはまた逆に洋食をチョイスしました。カトラリーのセットはリボンがかわいらしいと思います。
- 黒トリュフのリゾットケーキ ビーフコンソメスープ
- ギリシャヨーグルト リンゴンベリーのジャム添え
メインは黒トリュフのリゾットです。朝から贅沢!ヨーグルトはフルーツたっぷりなのが嬉しい。バターはエシレでした。濃厚で甘みがあって美味しいんですよね〜。
ノイズキャンセリングヘッドホン QuietComfort
朝食はノーランの『インセプション』を観ながらいただきました。実はほとんどのシーンが飛行機の上で展開している映画なので、機内で見るのにふさわしいと思います。ファーストクラスではBOSEのQuiet Comfortが用意されています。ノイズキャンセリング機能により、飛行機のエンジン音が大幅に低減される優れものです。
JALのQC30と自分で持ち込んだQC35
映画を楽しんでいると、ついに14時間の至福のときが終わりを迎えます。飛行機は高度を下げ、羽田に着陸。長いようで短いファーストクラスの旅が終了しました。名残惜しく飛行機を去りました。
ファーストクラスに搭乗しての感想 200万円の価値はある?
「ファーストクラスでニューヨーク」。素敵な響きですよね。旅行好き、あるいは飛行機好きにとってはひとつの到達点のような気もします。シートや機内の食事など、そのイメージにたがわない、なんとも贅沢なフライトでした。
今回はAAの海外発券という特殊ルートでしたが、では、正規の200万円を支払ってでも乗る価値はあるでしょうか? これには正直、「否」と答えざるを得ません。
ハネムーンや定年退職した折など、記念のフライトならありかな?と考えてみても、所詮は平凡なサラリーマンにすぎないわたしからすれば「いやいやもったいない。200万円あればあれもできるこれもできる」と邪念が浮かんでしまいます。しかもそうした際には二人で旅行するケースが多いでしょうから、そうすると400万円もの出費となってしまいます。
400万円に見合うほどのサービスかと言えば、所詮は交通手段。身も蓋もない言い方をすれば、14時間席に座っているだけですからね(笑)。華やかさという意味では中東系キャリアの方がアピールしますし、普段使いなら「ビジネスクラスで十分だな」というのが正直な感想だったりします。本来は、そんな細かいことを考えずに、ポーンと支払いができる人が乗るべきクラスなのでしょう。
マイルを利用して特典航空券でファーストクラスに乗る
とはいえ、憧れのファーストクラス。やはり誰しも一度は乗ってみたいですよね。現実的に考えると、我々庶民にとっては、マイルを貯めて乗るのがほぼ唯一の方法だと思います。JALとANAのニューヨーク便ファーストクラス往復特典チケットを発券するには何マイル必要なのか、調べてみました。
- JAL 14万マイル(キャンペーンで11万マイル)
- ANA 15万マイル
JALの場合は、2017年5月現在、キャンペーンで11万マイルとかなり安くなっています。ANAでも15万マイル。ふだんお伝えしている「JALマイルの貯め方」と「ANAマイルの貯め方」、いずれも年間で20万マイル以上が貯まるので、十分に現実的な数字だと思います。ケースによっては、一年間で2往復することも可能です。
いわゆるマイル単価を考えると、JALの場合は1マイル=18円、ANAでは1マイル=13円と、驚異的な数字となります。「マイルをもっとも有効に活用するにはファーストクラスを発券すべし」と言われる所以ですね。
JALとANAのファーストクラスの就航路線は、それぞれ次の通りです。
JAL
- ニューヨーク
- サンフランシスコ
- ロサンゼルス
- シカゴ
- ホノルル(不定期)
- ロンドン
- パリ
ANA
- ニューヨーク
- ワシントンD.C.
- サンフランシスコ
- ロサンゼルス
- シカゴ
- ヒューストン
- ロンドン
- フランクフルト
- シンガポール
ANAでは今後、ハワイへのA380投入が予定されていますし、JALも年末年始に期間限定でハワイ路線ファーストクラスが設定されています。基本的にアメリカかヨーロッパ中心の選択肢となりますが、マイルを貯めて、ぜひファーストクラスを楽しんでみてはいかがでしょうか?
JALマイルという意味では、JAL本体よりも豪華なエミレーツ航空のファーストクラスにお得に乗ることができます。こちらのファーストクラス・レポートもよかったらご覧ください。
エミレーツファーストクラス搭乗記 A380と777の違い・機内食とシャワートート
おすすめ記事
コメントを残す