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マイルで100の世界遺産!旅行記

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【トリビア付き】タランティーノ『ヘイトフルエイト』感想と評価

レビュー レビュー-映画

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【原題】

THE HATEFUL EIGHT

【監督・脚本】 

クエンティン・タランティーノ

【キャスト】
サミュエル・L・ジャクソン カート・ラッセル ジェニファー・ジェイソン・リー ウォルトン・ゴギンズ デミアン・ビチル ティム・ロス マイケル・マドセン ブルース・ダーン チャニング・テイタム

【音楽】

エンニオ・モリコーネ

【よくわかる あらすじ】

オッスおらサミュエル・L・ジャクソン! 山んなかで吹雪にあっちまった。そこへ馬車に乗って通りがかったのは、同じ賞金稼ぎ仲間のカート・ラッセル。ありがてぇ……なに、連れてる女の首には賞金1万ドルがかかっているだと!? ともかく、吹雪を避けて馴染みの店にたどり着いた。だが店主はおらず、一癖も二癖もありそうな怪しい男ばかりが待っていた。どいつもこいつもうさん臭ぇ。誰が、誰を、何の目的で狙っているのか……一瞬も気が抜けねぇぜこれは。

 

<注意! 記事の最後にネタバレ感想があります(グレーで見えにくくはなっています)> 

 

とても楽しみにしていた一本です。傑作『ジャンゴ 繋がれざる者』と同じ世界を舞台に据えた西部劇第2弾(直接の続編ではない)。しかも謳い文句が「真冬の密室ミステリー」! 

 

 

目次

 

▼日本版予告編はこちら

 

密室ミステリー?

今はそうでもないですが、学生のころはいわゆる本格ミステリーが大好きでよく読んでたんです。この「本格」はちょっと特殊な意味でつかわれていて、トリックをメインに据えた古典的な作品を指すんですね(ちなみにちなみに、"ミステリ"と書くのがマニアっぽくて、"ミステリィ"って書くと森博嗣っぽい)。

 

ま、話が長くなるのではしょりますが、そのなかの一大ジャンルに「雪の山荘」というものがあります。大雪で外部と途絶された山荘で殺人が起きる。犯人がこの中にいるのは間違いないーーとまぁ、この映画のために用意されたような筋立てではないですか。期待するなという方が無理です。

 

で、結論はというとーーこの点に関しては、思っていたのとはかなり違いました。ていうかこの予告編、嘘っぱちもいいところで(笑)。そもそも、推理小説であれば、まして本格ものであれば、探偵が理詰めで徐々に犯人が暴かれていくものですが、考えてみればそれってタランティーノ作品ぽくはないですよね。

 

だってすぐ銃抜いてバンバン!って解決しそう。この作品もおおむねそんな感じでした。グロテスク度に関しては、7/10ってところかな。『ジャンゴ』が平気だった方には問題ないかと思います。R15指定でよくね?と思いました。

 

上映時間


上映時間は怒濤の167分。もともと長尺の監督だけど、それにしても長いですね。個人的には、とくに前半のテンポをもっと良くしてほしかったなと思いました。いったん物語が動き出してからはノンストップなんだけど。

 

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キャスト


サミュエル・L・ジャクソンといえばタランティーノ映画の代名詞みたいな役者ですが主役を張るのはこれが初めてなんですね。登場する面々はこれまたタランティーノ映画の常連がほとんどで。なかでもティム・ロス、好きなんですよね〜。英国人絞首刑執行人の役なのですが、ある出来事を境に、イギリス英語のしゃべり方が一気にガラ悪くなるのがおもしろかったです。

 

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リンカーンの手紙


物語の早い段階で登場するリンカーンの手紙。リンカーン大統領は実際に多くの国民にあてて、手紙を送っていたそうです。主人公がその手紙を持ち歩いていたある理由が劇中で明かされるのですが、それが現代アメリカ社会の状況を反映するものとして海外レビューではよく取り上げられていました。

 

「ニガー」という黒人への侮蔑語が多用されることへの言及も多かったです。『ジャンゴ』のときと同じように「あまりに白人を醜く描きすぎる」として、評価が分かれていますが、そのような批判には多分に歴史修正主義を感じます。

 

タランティーノ自身は、アメリカ警察によるアフリカ系住民に対する暴力に批判的なコメント・スタンスを表明しています。それを受けてタランティーノ映画をボイコットしようという阿保な連中も出てくる始末。根深い人種問題が作品のテーマにあるのは間違いありません。

 

サントラ


35年ぶりにモリコーネが西部劇のスコアを手がけたことも話題です。『キル・ビル』で仕事をしてから仲違いしたとかって説もあったけど、仲直りしたのかな。アカデミー賞の「作曲賞」にノミネートされています(ついに受賞しました! おめでとう!)。でも、それより個人的に一番印象に残ったというか、好きだったのは、序盤ですこしかかったホワイト・ストライプスの曲です。

 

Apple Blossom

Apple Blossom

  • The White Stripes
  • オルタナティブ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

もともとホワイト・ストライプスやラカンターズはすごく好きなんだけど、ジャック・ホワイトの声ってとてもタランティーノとの相性がいい気がするんですよね。

 

タランティーノといえば重度の映画オタクnerdのくせに音楽ははずして語れないというくらい、選曲が良いですよね。しかも下手したらすっごくダサくなるそのギリギリ一歩手前で、こっちが思わずニヤリとしちゃうような曲を掘り出してくる。その点に関しては完全に信頼してます。

 

たとえば『キル・ビル』はジャージャージャ♪という布袋寅泰のテーマ曲が有名ですが、映画館で観た時、エンドロールの曲「怨み節/梶芽衣子」が終わると、「やられたわー」という感じで、自然と劇場内から拍手が沸き起こりました。あんな経験は一度きりです。

 

Urami Bushi (Includes Hidden Track

Urami Bushi (Includes Hidden Track "Black Mamba")

  • Meiko Kaji
  • サウンドトラック
  • provided courtesy of iTunes

 

 

劇中でもうひとつ、誰の記憶にも残るのは、デイジーがアコギの弾き語りをするシーンだと思います。これはもともとはオーストラリアで1907年に発表されたフォークソング。 

Jim Jones at Botany Bay (feat. Kurt Russell)

Jim Jones at Botany Bay (feat. Kurt Russell)

  • ジェニファー・ジェイソン・リー
  • サウンドトラック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

撮影中の大失敗 500万円のギターが…!

このシーンのトリビアがあって、ちょっとネタバレなんだけど、公式サイトにも載ってるので書いちゃうと、使用したギターは1870年代の大変貴重なビンテージもので、博物館から借りた、4万ドルもする品だったとのこと。

 

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で、そのギターをカート・ラッセルがたたき壊してしまいます。当然、壊すシーンではレプリカと入れ替わっているはず……だったのが、本番でも本物を使うことに変更になっていました。しかし手違いでラッセルにはそれが伝わっておらず、500万円相当のアンティーク・ギターをぶっこわしてしまったのです……! 本物だと知っていたジェニファー・ジェイソン・リーの「なにやってんのよぉー!?」という表情は、演技ではなかったというわけです(笑)。ちなみにジェイソン・リーもオスカーに「助演女優賞」でノミネートされています。

 

追記:

イギリスの新聞インディペンデント紙を読むと、「破壊する手前まで撮影して、いったんストップしてギターをレプリカと入れ替える」のが制作側の意図で、それがカート・ラッセルにうまく伝わっていなかったための事故でした。該当シーンの動画もあるので未見の方は注意してください。わかってて見ると、ジェイソン・リーの反応がめっちゃおもしろいです(笑)。

 ただ、美術館側のコメントを読むと本当にショックを受けていて、「お金の問題じゃない。アメリカの楽器史の重要な一品が失われてしまったってことなんだ。もうこれからはなにがあってもうちの楽器は映画の撮影には貸し出さない」と嘆いていて、気の毒になってしまいました……。

 

ポスター


「日本版のポスターださすぎるだろ」って一時期ネットで話題となりましたね。アメリカ版のポスター、あらためてめっちゃかっこいいですよね〜! ABテストするとやっぱり日本では受けが悪いのでしょうか。ちょい悲しい。

 

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タイトルの意味

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"The Hateful Eight"というタイトルは、いうまでもなく『荒野の七人』の原題”The Magnificent Seven”を意識したものです。The Hateful Eightの日本語訳は「8人の悪党」といったところでしょうか。それと、ポスターにもありますが、タランティーノの長編8本目でもあるので、映画本編の構成も「8」という数字を意識したものになっていました。

 

IMDbのトリビアをいくつかピックアップしてみた

『ジャンゴ』とのつながりを示すものが3点ある。

  1. ウォーレンの初登場シーン。この鞍はジャンゴが所有していたものである

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  2. ミニーの紳士洋品店。床にジャンゴが着ていたグリーンのコーデュロイ・ジャケットが落ちている

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  3. ウォルトン・ゴギンズは両作品で”hillbilly(田舎者)”と呼ばれる

 

・タランティーノが特定のタバコ・ブランドを宣伝するのが嫌いなため、『レザボア・ドッグス』や『パルプフィクション』、『キルビル』にも登場した架空のタバコ「レッド・アップル」が今回も登場している

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・“The Hateful Eight”は、タランティーノの作品タイトルとしては、最多の単語数である。これまでは2単語だった(Reservoir Dogs, Pulp Fiction, Jackie Brown, Death Proof,Inglourious Basterds, Django Unchained, Kill Bill)

 

【警告!】ネタバレ感想

 

未見の方はサササーっとスクロールしちゃってください。

ネタバレここから

 

ん〜、ひとことで評価するなら「微妙」かなぁ。タランティーノの真骨頂といえば、一見あまり意味のないダラダラとしたダイアローグだと思うし、とくに今作のような閉ざされた空間であればそれがいっそうの輝きを持つもの……と期待してしまうのですが、どうにも冗長というか、間延びしたものにしか感じられませんでした。『パルプフィクション』なんかの意味なし会話は大好きなんですけどね。

 

とくに8人がそろうまでの前半。あれだけで1時間以上使っていたと思うんだけど、長いよ〜。馬車のなかの掛け合いも、おもしろかったですかね? 『ジャンゴ』なんかは最初からアクション満載だったので、退屈する暇もなかったのですが、『ヘイトフル・エイト』は無駄な会話が多すぎたと思います。

 

一転して銃撃シーンになってからはいつものタランティーノ的ドンパチなんだけど、これも一人一人の死ぬ理由とか役割がたいした意味合いを持たないんですよね。姉を救出にきたと知らされても「ふーん」という感想しか持てず。せっかく時系列をずらしているんだから、伏線回収や、どんでん返しがあればまた違ったと思います。

 

ウォーレンと将軍との対立シーンなんかはおもしろかった。あと毒殺犯を探すシーン。あれをもっと理詰めで、それこそ本格ミステリーっぽくタランティーノ節をきかせてくれたら嬉しかったんですけど。アクションも会話劇も中途半端に終わってしまった感が強いです。期待度が高かっただけに、残念でした。

 

あと、猫はどうなったんだ!!!!!!

 

ネタバレトリビア
死体の数:16

 

 ネタバレここまで

 

Quentin Tarantino's The Hateful Eight (Original Motion Picture Soundtrack)

Quentin Tarantino's The Hateful Eight (Original Motion Picture Soundtrack)

  • Various Artists
  • サウンドトラック
  • ¥1600

 

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撮影中の1シーン。タンラティーノとラッセル

 

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ムビチケをうまく使うと、総額で映画のチケット代が500円くらいは安くなる計算なので、よく劇場へ足を運ぶ映画好きの方ならバカにできないかなと思います 

 

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